2009年9月14日月曜日

第6回IPS勉強会 働くための薬物療法

第6回IPS‐Tokyo勉強会
働くための薬物療法

IPSは、Individual Placement and Support(直訳すると「一人ひとりを社会的役割の中で支援する」)の略語で、支援者が「患者には今の生活以上のことはできない」と感じてしまいがちな精神障害者に対しても、社会に出ることにより期待された以上に大きな自立機能を発揮できる可能性がある、という科学的根拠に基づいたプログラムです。
IPS-Tokyoは、情報発信により精神障がい者の社会参加と就労・リカバリーに寄与することを目的としています。

IPS-Tokyoでは、IPSについての勉強会を定期的に開催しております。
今回は、桜ケ丘記念病院 薬剤部の 遠藤 洋先生をお呼びして、働くための薬物療法について、実践を踏まえながらご講演いただきます。 また、働いてリカバリーされている当事者やそのご家族から、就労やリカバリーにおける薬の重要性についてご発言いただきます。
医療、特に適切な薬物療法と統合された就労支援がもたらすリカバリーの可能性について、皆様とごいっしょに勉強できればと思っています。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。

【日時】平成21年8月31日 月曜日 19:00~20:40 (18:30受付開始)

【内容】
18:30~受付開始
19:00~                                                
◆ 働くための薬物療法 桜ケ丘記念病院 薬剤部 遠藤 洋 先生
◆ 当事者の立場から  精神障害者サバイバー 中村 孝 氏
◆ 家族の立場から     稲城市精神障害者家族会 「稲穂会」会長 堀尾 兼三郎 氏 
                 (インタビュー 稲城市役所/ IPS-Tokyo 飯野)
◆ 質疑応答
20:40 終了・懇親会

【場所】調布市市民プラザあくろす3Fあくろすホール
http://www.chofu-across.jp/goannai_tizu_frame.html
(京王線国領駅前)

【申し込み】
下記へ参加の旨をお伝えください。
事前に薬に関するご質問をお受けしています。
申し込み:IPS-Tokyo  事務局 中原
ipstokyo@yahoo.co.jp

主催:IPS-Tokyo 
共催:ヤンセンファーマ株式会社

あいにくのお天気でしたが、会場には、当事者・ご家族・医療・福祉・教育・企業関係者など多くの方にお越しいただきました。誠にありがとうございました。
リカバリー、就労支援を進めていくにあたり、私たちコメディカルも、ご本人の夢を大切にしながら、薬の知識を得て治療に参加していけるようにサポートしていくことが必要だと改めて気付かされました。
すべての関係者の皆様にスタッフ一同心より御礼申し上げます。
IPS-Tokyo

始めに、桜ケ丘記念病院遠藤先生より、「精神科で使われる薬の話」についてご講演がありました。
お話の中で、一年後欠薬し何も飲まないで居るのとそれに近いプラセボ(偽薬)再発率が70%で適量飲み続けると14%へ再発率が下がります。そうなんだと、当事者の立場の一人から言いますと「面倒だから飲まない」「効果ない」という方は何のための医者にかかり何のための治療なのか「初心忘るべからず(怠惰を平気だと思わないこと)」「ローマは一日にして成らず(継続が大事)」で真剣になって考えて頂きたいものです。 
副作用についての説明もありました。遠藤先生は気さくな方で、これから何が始まるのか興味深く実演を拝見しました。丁度、これを遠藤先生が錐体外路症状をどういう状況かを「手が曲がらない」「身動き取れにくい」などの副作用をどのように感じるか、イメージを思い浮かべる要領で実演を会場のお客さんを交えて披露してくださいました。理解に一同拍手して実演を終えました。
多剤大量投与は日本特有で死亡リスクに対する影響が顕著なようです。プラスになるいいことは無くむしろ悪循環になると聞きました。 又、飲み忘れてしまう当事者側も「しまった!薬、家に置いてきた」や「今日は飲まなかったどうしよう……」不安は付き物です。例えばこのようなタイプの薬もございます。2週間毎日飲んでいるお薬が1回の注射で済む方法もあるそうです。一回の痛みの少ない注射で服薬から解放され飲み忘れなく症状の改善が期待でき再発を予防する事も出来る模様です。 

続きまして、当事者の立場から代表して働いて丸6年になる「精神障害者サバイバー」の中村 孝さん。自分の経験と主張を語って頂きました。中村さんは働くことが楽しいそうです。顔に出るくらいにこやかな演説に加えましてインタビュアの飯野雄治さんも携わり、始終緩やかでありながら安心感が伝わりました。
病気を治すためには働くことが必要とお聞きし、職に就くことが無理とは微塵もなくむしろ歓迎しなければ現在ある状況から抜け出すことはないとおっしゃいました。それも自分が興味ある媒体でいいそうでこの「得意気なジャンルで堂々と」、これこそがまさにIPS目的の真髄であると言えます。
解放感による働きやすい体調管理が必須項目の一つに挙げられ、薬を最小限に抑えるのも自分を知る上で方向は自由でも分岐点でいざ通らねばならない問題が誰にも共通する判断基準です。医師にも就労に太鼓判押してくれる勇気・相談も必要不可欠です。支援あれば病気を乗り越えるのにつながると自負し実感しているそうです。 
リカバリーのプロセス。「閉じこもってばかりではいけないと考え、薬効と副作用を把握し、自分の人生は自分で責任持つべきだと教えられる。」→「薬の勉強で副作用を知る」→「医師との交渉を支援する人の存在」→「働きたい思いに医師が薬を変更する」→「副作用が減り、就労に挑戦」
いかがでしょうか?中村さん自身の経緯が前向きで素直に受け止められると思います。皆最初は同じ疑問から出発します。それには変えなきゃと思わずには居られません。医師や支援者の存在は中村さんの今後の人生で大きな役割があるといえます。当事者は自分ひとりでは何も出来ません。甘えというより優しさに触れることが肝心だと受けました。中村さんは成功者の第一人者です。後ろめたい気持ちな方にも働く喜びを誰にでも伝え病気を克服するチャンスだと各地へ巡回する上でこれからも伝道師としてリカバリーを流布し続けてください。同じ当事者として応援しています。

最後に稲城市家族会「稲穂会」会長堀尾氏から家族から見た「働くための薬物療法」についてです。
① 薬物療法とリカバリー
始めに医師も医師で医師の言いなりで治療に受けるのと自分を反映させて治療を受けることの重大さは当事者自身の主張に関係するとお伺いしました。
② 主治医とのコミュニケーションのポイント
「近況を伝える場合、困り事のみでなくうれしさも伝える。」
→主治医と明るく相談が出来るよう心がける。
「自分がどうなりたいかを伝える」
→当事者の目的の把握、相互理解。
「薬の飲み心地を伝える」
→副作用の判断。
「治療について、心配なことや、気になること、自分の希望などを 伝える」
→今後のビジョン。 
「伝えたい忘れそうな用件がある場合、メモする」
→多くの指向性より自分が言いたい意見の認識。
③ 親として
 「働くことがリカバリーそのものだと親として支援できれば病気や障害持っていても働くことによりやりがい・生きがいを感じ、自分らしい生活を取り戻せると信じています」

僕がまとめますと「働きたい」と、参加すること。自分がまず自発的に動かねば何も人生が変わらず、服薬続けた結果、良くなる傾向があり「働きたい!」とIPSの支援で当事者も思う気持ちも強くなる。当事者にとって何よりも変えがたい就労という前向きな取り組みは、治療チームにとっても、プラスになると感じているようです。

ペンネーム「憩瞑渤」

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